辞世の句


数多くの辞世の句がある中、忠臣蔵で有名な2つの句これは過去に年末時代劇として日本テレビで放映していた時に知りました。
辞世の句は文字面だけを見れば単なる詩であり平面的な理解しかできない中、ドラマや文献、書籍で背景を知りそれを前提としてその詩を見たときにその詩の美しさ、込められた思いを立体的に感じることができます。
それは、今で言うところの大人のイジメを吉良上野介から受け続け、我慢の末に殿中での刃傷沙汰に至ったが、当時の社会ではそれは許されることはなく切腹による命を以ての償いを命ぜられ、多くの家臣を路頭に迷わせてしまうに至った。その無念さを遺しこの世を去った主君である浅野内匠頭に対し、家臣である大石内蔵助が仇である吉良上野介の監視の目を潜り抜け同士一同と共にその仇を打ったが、やはり当時の社会のルールにより皆切腹によりこの世を去ることになったというものである。
そのような背景で詩を見ると、浅野内匠頭の無念な思いの詩に対して、主君の無念を晴らした家臣大石内蔵助の見事なアンサーソングと私の目には移りました。
他に、このような掛け合いのある辞世の句を知りません。
まだ勉強不足であるとも思いますが、この2つの辞世の句からも忠臣蔵は見聞きしたものの心に残り、新しい解釈を得て今もなお語り継がれる事件としてあり続けるのだと思います

◇浅野内匠頭(あさのたくみのかみ) 辞世の句

  忠臣蔵の赤穂事件より

   風さそふ 花よりもなほ 我はまた 春の名残を いかにとやせん

◇大石内蔵助 辞世の句

  忠臣蔵の赤穂事件より

  あら楽し 思ひは晴るる 身は捨つる 浮世の月に かかる雲なし

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